A Clockwork Orange (1971) 時計仕掛けのオレンジ

Directed by Stanley Kubrick

 さて今回御紹介する映画は、 僕がちょおおおおお大好きなスタンリーキューブリック監督の作品です。

多分一番好きですね。 この映画、いまだにヴァイオレンスな映画と言われるのですが、

確かに最初の方のシーンにはショッキングな描写も多く、 初めて見る方はビックリする人もいるかも知れません。

しかしながら、何ゆえにそこまでヴァイオレンスな部分を描くのかは、 最後まで見て頂くと、

今度は胸にグサリと鋭く問いかけ、かえってくることでしょう。

 Malcolm McDowell演じる主人公のアレックスは札付きのチョー悪の若者です。

そんな彼はある時忍び込んだ家で殺人事件をおこし、ついに警察へ、 そして刑務所へ入れられます。

しかし、刑務所に入れられた悪どもを科学で構成させるプログラムを政府はすすめ、

その実験台として彼は選ばれ、2年で出所、わずか2週間の更正プログラムを受け社会へ。

そして見るも無惨な因果応報の世界へ。

 さてこの映画の中で、主人公がこよなく愛するのは、ベートーヴェン

中でも最もフィーチュアされるのは、かの第九交響曲。

この映画でこの曲が主人公の人生にとって、良くも悪くも大きく関わってきます。

余談ですが僕が始めて第九に出会ったのは中学の時の音楽の授業でした。

我が恩師音楽の松島先生が、自ら大学時代に歌ったもののテープを授業で聴かせてもらったのが最初でした。

その感動たるや衝撃たるや筆舌に尽くしがたいものでした。

先日先生から、今NHKの番組毎日見ていますと激励のメールを頂きまして、

番組で流れているたて笛バージョンはまさしく先生に教わったものなのでした!

それもまさにその当時使っていた茶色のプラスティックのアルトリコーダ。(いい音してるでしょ?)

 さて、今回改めて見てみて思った事がありました。なぜベートーヴェンなのか。

これは僕がの音楽先輩から伺った話なのですが、

「芸術と言うものにはそれ自体にとても毒があるものだ。」

という事です。

分かりやすく言えば、綺麗なバラにはトゲがある、みたいなことかも知れませんが、

どんな美しいもの、音楽、絵画等もそうと思いますが、 いい意味でも悪い意味でも、

いい方向にも悪い方向にも人を魅了します。 それは作り手側にとっても同じ事。

気がおかしくなってしまう芸術家も少なくないのも分かる気もします。(気をつけます。もうおかしい?)

そんな芸術性の高いもの、音楽がキューブリックの映像の魔性性には不可欠なのではないのかと思ったのです。

ベートーヴェンのその美しい旋律に、普通に聴いていては気づかない 芸術、

音楽の魔性性を映像と共に垣間見る事が出来る作品と思います。

僕がキューブリックが好きなのは、全ての人間に内在している、 命の深い部分、

心の深い部分にずんずん響いてくるところです。

見る度に、自分のその部分に目をつぶっていないか、避けてはいないだろうか、

気づかないでやり過ごしていないか、そんな事を考えずにいられません。

ま、堅苦しい事はともかく、とてもブラックでユーモアのある映画ですよ。

この映画にはその他、エルガーやロッシーニ、singing in the rain(雨に唄えば) などの音楽も登場します。

特に雨に唄えばの登場の仕方はこれまたブラックで・・・。

そして、ドアの呼びベルがベートーヴェンの運命だったりしますので、 その辺の細かいところもお聞きのがしなく。

という事で、サウンドトラックから、第九のWendy Carlosによるアレンジヴァージョンを

聴いて頂きました。このエレクトリックなヴァージョンがまたとても劇中では効果的です。

あなたも是非この映画を聴いてみてはいかがですか?